ピルで太るって本当?研究でわかっていることと、体重が気になるとき
低用量ピルを飲むと太る、と聞いて迷っていませんか。学会のガイドラインでは、ピルと体重増加の因果関係はないとされています。それでも「増えた」と感じる理由、飲み始めの変化との付き合い方、受診したほうがいいサインをまとめました。
ピルに興味はあるけれど、「太る」と聞いて迷っている。飲み始めてから、なんとなく体重が増えた気がする。そんなモヤモヤを抱えていませんか。
研究では、どうなっている?
日本産科婦人科学会のガイドラインでは、ピル(OC)が体重に与える影響を、ピルを飲まない人(プラセボ、または何も飲まない人)と比べた試験が2件あり、どちらも体重の変化に差はなかった、としています。
世界中の研究をまとめて評価するコクラン・レビュー(2014年)も、49件の試験を調べたうえで、「体重への影響を決めるには証拠が足りないが、大きな影響は見られなかった」と結論づけています。イギリスの国民保健サービス(NHS)も、ピルを飲むと太るという証拠はない、としています。
でも、飲み始めてから体重が増えた気がするんです…。
体重は、ピルと関係なく、季節や生活の変化でも動くものなんです。だから研究では、ピルを飲んでいない人と比べて確かめているんですよ。
それでも「増えた」と感じるのはなぜ?
ピルの添付文書を見ると、副作用の欄に体重増加が載っているものがあります。
- マーベロン:「ナトリウムや体液の貯留による浮腫(むくみ)、体重増加」が0.1〜5%未満
- スリンダ(黄体ホルモンだけのピル):体重増加が1〜5%未満
体の中に水分がたまって、むくみとして体重が増えることはある、ということです。
また、ガイドラインで紹介されている研究では、ピルをやめた理由として、不正出血(12%)、吐き気(7%)に続いて、体重増加(5%)、気分の変化(5%)があがっていました。こうした症状を感じる人は、エストロゲンの量が多いピルのほうが多いという報告もあります。ただ、それが本当にピルのせいなのかは、多くの場合わからない、とされています。
飲み始めの数か月は、様子を見ることが多い
NHSは、ピルの副作用として、次のようなものをあげています。
- 生理以外の出血(不正出血)や、生理の変化
- 頭痛
- 気分の変化
- 吐き気、めまい
- 胸の張りや痛み
- 一部の人での血圧の上昇
ガイドラインによると、不正出血は飲んでいる人の20%が経験しますが、続けるうちに減っていくことが多いとされています。そのため、不正出血を理由にやめたいという人には、3周期は続けてみることをすすめています。
NHSも、3か月たっても副作用が続いていて困っているなら、薬剤師か医師に相談するよう案内しています。「最初の数か月は様子を見る。それでもつらければ相談する」が目安です。
体重が気になるときにできること
- 月に1回など、同じ条件(朝、トイレのあとなど)で体重を記録する
- むくみや体調の変化も、日付と一緒にメモしておく
- 自己判断で飲むのをやめない。やめるとそのぶん避妊できなくなるので、やめたいときは処方医に相談し、それまではコンドームを使う
- ほかの種類のピルや、ミレーナなどほかの方法も含めて、処方医と相談する
ガイドラインでは、ピルを飲んでいるあいだは、受診のたびに血圧を測り、少なくとも6か月ごとに体重を測ることになっています。気になっていることは、そのときに遠慮なく伝えてください。
体重と、ピルの安全性の関係
体重が気になる理由は、見た目だけではありません。ガイドラインでは、肥満(BMI30以上)の人は、血栓症などが起こりやすくなるという報告があるため、ピルを「慎重に使う」対象になっています。
ガイドラインで紹介されている報告では、ピルを飲んでいるかどうかに関係なく、BMIが高いほど血栓症が起こりやすく、1万人あたり1年間に、BMI20未満では5.8人、30〜34.9では22人でした。肥満の人がピルを飲むと、そのリスクがさらに上がることもわかっています。また、短いあいだに急に体重が増えたときは、飲むのをやめることを考えるべきサインのひとつとしています。
血栓症(血管の中に血のかたまりができること)のサインも覚えておきましょう。
- 激しい腹痛
- 胸の痛み、息苦しさ
- 激しい頭痛
- 見えにくい、舌がもつれる
- ふくらはぎの痛み、むくみ
受診の目安
よくある疑問
質問:太りにくいピルってある?
研究では、ピルそのものが体重を増やすことは確かめられていないので、「太りにくさ」で選ぶ必要はあまりありません。むくみなどの副作用が気になるなら、ほかの種類も含めて処方医と相談してみてください。
質問:むくみが気になる。飲むのをやめたほうがいい?
自己判断でやめると、避妊ができなくなります。まずは処方医に相談を。ただし、ふくらはぎの痛みやむくみなど、血栓症のサインがあるときは、すぐに受診してください。
質問:気分が落ち込むのも、ピルのせい?
ガイドラインは、ピルと気分の変化のあいだに因果関係はないとしています。それでも、落ち込みが続くときは、ピルのせいかどうかにかかわらず、処方医や心療内科に相談してください。










